呼吸器内視鏡検査(気管支鏡検査)

 気管支鏡検査は気管支ファイバースコープと呼ばれる直径3〜6mm程度の細くて柔らかい管で、胸の奥深くにある肺につながる気管・気管支の中をのぞき見る検査です。胃カメラと同じ構造ですが、胃カメラと比べると大変細くできています。気管・気管支や肺など呼吸器の病気にかかった患者さんにとって重要な検査で、気管・気管支内を観察すると共に、組織や細胞を採取して肺の病気の正確な診断をつけるために行います。

 当科では現在年間約250例の患者様が検査を受けておられ、次のような症状や所見がある時に医師から気管支鏡検査を勧められます。
  • 痰に血液が混じる時
  • 原因不明の咳が続く時
  • 胸部レントゲン写真やCT写真で肺に異常陰影がみられ、肺癌や肺感染症などが疑われる時
  • 喀痰検査で癌細胞を疑う所見がみられる時
  • その他、肺、気管、気管支に異常が疑われる時

経気管支肺生検
 経気管支鏡肺生検とは気管支鏡から挿入した鉗子を使用して、組織を採取する検査です。中枢の病変であれば、直接カメラで観察して組織採取を行います。直接カメラで観察できない末梢の病変の場合は、エックス線で肺を透視しながら、気管支鏡を通し鉗子を病変まで誘導します。当科ではEBUSというエコーを使用し、末梢の病変をエコーで確認してから、組織検査を行うため、より確実な検査が可能となっております。また当科では、CT画像を利用したナビゲーションシステム(SYNAPSE VINCENT)を導入しており、診断の精度向上に努めております。最近では肺がん治療にも免疫チェックポイント阻害剤や分子標的薬の使用のため、遺伝子検査などが重要になっており、より良質な組織検体の採取が必要となっております。

 その他にも間質性肺炎やサルコイドーシスといったびまん性肺疾患の精査を行うために末梢の肺胞組織を採取する検査も行っております。

[写真(左)提供:オリンパス(株)]                  

超音波気管支鏡ガイド下針生検(EBUS-TBNA)
 超音波気管支鏡(特殊な気管支鏡)を用いて気管の壁外にあるリンパ節を観察し、気管壁を貫いてリンパ節に針を刺して、リンパ節内の細胞や組織を吸引して採取する方法です。この検査法は肺癌の患者さんの病気の広がり(リンパ節への進展の程度)を調べるために2004年に開発され、機器の安全性、検査法の改良が行われて2005年から臨床で応用されており、当科でも年間約21例の超音波気管支鏡ガイド下針生検を実施しております。現在では肺がん以外の病気(サルコイドーシスや縦隔腫瘍など)の診断にも応用しております。

  
[写真提供:オリンパス(株)]
気管支肺胞洗浄(BAL)
 気管支鏡を用いて、肺の一部に清潔な生理食塩水を注入して回収し、回収した液を解析することにより、びまん性肺疾患の診断や病態を明らかにするための検査です。気管支肺胞洗浄の対象となる呼吸器疾患には、特発性間質性肺炎、過敏性肺炎、膠原病性間質性肺炎、薬剤性肺炎、好酸球性肺炎、サルコイドーシス、じん肺、肺癌(肺炎の形態をしめすもの)、肺炎、リンパ腫や白血病などに合併する肺病変、肺移植後の拒絶反応など様々な病気があります。

 当科では、年間約64例の気管支肺胞洗浄検査を行っています。当科は開講当時から日本におけるBALの臨床導入にあたり、検査法の標準化に一早く取り組み、その手技の確立に貢献してきた歴史があります。そのため細胞成分や液性成分を用いた臨床研究にも積極的に取り組んでいます。

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